1本のコーヒー
パチンコに行った。
友人(3つ上)と隣同士の席に座った。
比較的当たりやすい「甘デジ」と呼ばれる台に座った。
倖田來未が歌うアレだ。
一万円ほどつっこんだが、当たらない。
隣では友人がガスガス当てている。
いらいらする。
リーチがくると、横から「外れろ!」と声が聞こえる。
期待通り外れると、横から嬉しそうに細い目で僕を見る。
とてもいらいらした。
「そんだけ当たってるんやったら、コーヒーくらい奢ってくださいよ」
前回は僕が飯を奢っている。当然の権利である。
隣でちょうど当たりを引いた友人が
「コレが確変になったら奢ってやるよ」
しかし、絵柄はノーマル。確変にはほぼならない。
「奢れへんって言ってるようなもんじゃないか!」
当然のように確変ならず。
同じようなことをあと二回繰り返した。
腹がたった。
メシを奢ってやったのに、負けている僕にコーヒーすら奢れないのか。
さらに、そんなしょうもない事でいらいらしてる自分が余計に憎い。
暫く黙ってムっとしていると、やばいと思ったのか
「しょうがない、奢ってやるよ」とコーヒーを買って来た。
僕は「いらない」と言って飲まなかった。
この頃から形勢は逆転し、僕が当たりまくっていた。
友人はコーヒーを飲まなかった事に腹をたて、帰っていった。
それ以来、連絡がない。
ヤツが悪いのか、僕のほうが悪いのかはもうどうでもいいが、
本当にしょうもない話である。